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り ゆ う

人を好きになるのにりゆうなどいるのだろうか

人を好きになるのにりゆうなんかない

気付いたらボクはあの人に恋していた




あの人とボクが出会うのは偶然だったのか必然だったのかわからない
けれどあの人とボクは出会い、ボクはあの人に恋してしまった。
あの人は“お隣さん”だ。
我ながら感じている。“お隣さん”て。

ボクが住んでいたアパートにあの人が越してきたのは半年前のこと。
今度の隣人は騒がしくない人だといいと願ったのが叶ったか、引越しの挨拶をしに訪れたあの人は派手な印象もなく、親しみやすそうな人だと直感した。
あの人が粗品としてくれたタオルは、柄物が苦手なボクが持っていても平気なタオル。 あの人と同じように派手ではなく、ボクは気に入って愛用させてもらっている。

ボクと同じ歳か少し年上であろうあの人は、毎日ほぼ同じ時刻に家を出る。そしてその時刻はボクがバイトに行くときに家を出る時刻そのものだった。
必然と週に何度かは顔を合わせるようになった。あまりにタイミングが同じだから、ボクが早く出るか遅く出るかすればいいのだけど、ボクは別にイヤだと思っていなかったし、もしイヤであれば相手が時間をずらしてくると思ったのだ。
そしてボクらの住むアパートにはエレベーターが備わっており、同時に家を出るあの人とボクはアパートの敷地を出るまでの2分足らずを一緒に過ごす。
と言っても交わす言葉は「おはようございます」だけだし、途中で他の住人が一緒になることだってある。
それでもあの人は時間を変えるでもなく、ボクも時間をずらすことなく、一緒にアパートを出る日が多くある。

ある日友人が遊びにきて、一緒にコンビニへ行くことになった。
すると仕事帰りであろうあの人がいたのだ。
声をかけようにもまだ親密ではなかったし、話しかけたところで「こんばんは」のやり取りだけになるのはわかってたから、ボクはそのまま菓子コーナーに向かう。
悩んだ末にボクと友人の好物であるキャラメルコーンとサッポロポテトを手に持ち、本を立ち読みして動かない友人に飲み物は何がいいのか聞きにいく。
と、いつのまにかあの人が友人の隣で立ち読みをしており、ちらっと顔をあげたあの人と目が合う。
「あ」と短く声を出したあの人は、笑って軽く頭を下げた。ボクも同じように頭を下げる。
「え?え?」とあの人とボクを交互に見る友人を引っ張って飲み物を選ばせる。
「なーあの人だれー?」
声がでかい。店じゅうに聞こえるだろうが。
「なーだれなんー?」
「いいから買う!」
恥ずかしさのあまり友人に菓子を持たせ先に店を出る。頬に当たる雨上がりの夜風が心地よい。
店内を振り返ると、あの人が微笑んでくれた。ボクも照れ笑いをするしかなかった。

そして翌朝、運がいいか悪いか玄関先で顔を合わせてしまった。
「あ、おはようございます」
「お、はようございます」
なんだか微妙な挨拶を交わし一緒にエレベーターに乗り込む。
だが気まずい。昨日の今日ですごく気まずい。思わずボクは話しかけるしかなかった。
「あの、昨日はなんだかすいません」
「あっいえ、別に!」
そう言ってあの人は首を振った。
そしてエレベーターが一階につき、ボクらはアパートを出る。あの人に会釈をして去ろうとしたら
「いってらっしゃい!」
と言われてしまってあたふたしてしまった。
「あの・・・そちらこそ」 というのが精一杯。
もうあの人は背を向けていたけど、振り向いて笑顔で礼をしてくれた。
梅雨の晴れ間の太陽に照らされたその笑顔はとても眩しく感じた。

そしてこの日を境に、ボクとあの人は少しずつ会話をするようになった。
ボクの名前がりゅうだということ、あの人はゆうさんということ。
ゆうさんはボクより2つ年上で事務職で働いていること。
ボクは学校へ通うでもなく気ままなフリーターだということ。

そして、知りたくなかったこと。

ゆうさんには年上の彼氏さんがいること。

知ったところでどうすることもできないじゃないか。
事実を知ってもなお、ボクの心はゆうさんに向いてしまっているから。
自分でも気付かぬうちに心に芽生えていた感情。それがなんなのか鈍感な自分でさえわかる。
ああ、人を好きになるんじゃなかった。こんなことになるなら。
どうして彼女なんだろう。どうしてゆうさんなのだろう。どうしてゆうさんには彼氏さんがいるのだろう。
きっとこの感情を抱く前にその事実を知っていたとしても、きっとボクはゆうさんを好きになっていたに違いない。
伝えることもできない。当たって砕けろなんて、相手の迷惑も考えないようなことはできっこない。
なによりゆうさんとの心地よい関係が壊れてしまうことが一番恐ろしい。

きっと理由なんかない。
気付けばゆうさんはボクの胸に棲みついていたんだ。


人を好きになるのにりゆうなどいるのだろうか

人を好きになるのにりゆうなんかない

気付いたらボクはあの人に恋していた


                                  
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この記事に対するコメント


切なあー
それでも週に何度かは顔を合してしまうわけですね。お隣さんだから。
年上の彼氏さんっていう勝ち目なさげなところもなんとも。

こうして何か読むと自分も何か書きたくなってきてしまうのです。いや、書くとは限らないけども。

【2010/07/07 22:30】URL | ティエリ #-[ 編集]

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【2010/07/21 17:09】 | #[ 編集]

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【2010/07/25 19:26】 | #[ 編集]


***ティエリさん

せつなーです。否応なしに会ってしまうのです。せつなー。

え、だって書くんですよね?書きたくなったなら書くべきですよね?
楽しみにしてますから、ええ。どんなに時間がかかっても待ちますから、ええ。

【2010/07/26 12:12】URL | 綴夜 #XMatgrFs[ 編集]

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【2010/07/31 09:38】 | #[ 編集]

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